選ばれし者のみに与えられる音楽の能力、絶対音感…。
でも、実は“残念な能力”だったりします。
自身の体験を元に、その謎に迫ります。
私について
少しだけ自分の紹介をさせていただくと、幼稚園児くらいのころからキーボードに触っていて自然と絶対音感がつきました。
特に何か習い事はしたり教わったことはなく、これが絶対音感と気づいたのはインターネットがうまく使えるようになった中学生くらいだったと記憶しています。(今どきは小学生でも検索力すごいのかな…。)
ネットで絶対音感についての記事を見たり、絶対音感の測定テストをやってみたりして確信を持ちました。
でも、小学生の時にはすでに違和感を覚えていて、音楽の授業で原曲と違うキー(調)で演奏させられて、「これ音程違うのになー」ってずっと思っていました。(のちに演奏が簡単になるようにキーを変えていたことを知ります。)
よく言われている通り、絶対音感は幼少時に音楽の教育を受けたりしていないと持つことができないというのと一致していますね。
そのため、”選ばれし者のみに与えられる音楽の能力“といった具合に、持っていることが珍しい能力なのだと思われます。
結局私は、絶対音感による音楽の才能は花開くことなく、今は趣味でドラムとギターをたしなむ程度となるんですがね…。(ドラム関係ない…。)
相対音感と絶対音感
この2つの違いはご存じでしょうか?
絶対音感は、音を聞いたらその”絶対的“な音程(音階)がわかる能力です。
例えば”ラ“の音が○Hzだとしたら、○Hzのと音が鳴ると”ラ“だとわかる能力です。(実は音程はHzで表すことができます。)
この”ラ“という周波数の音が、頭の中で音階の名前の”ラ“か、ピアノの鍵盤の位置といった情報と結びつくイメージです。
“絶対“ってつくからどんな状況下でも間違えない!という意味にとらえている方も多いのですが、人によって能力の差はありますし、間違えます。(人間だもの。)
それに対して相対音感は、”相対的“な音程(音階)がわかる能力です。
例えば”ラ“の音が○Hz、”ド“の音が△Hzだとしたら、○Hzの音と△Hzの音が同時、または時間差で鳴った時に、○Hzと△Hzの音の音程の間隔がわかります。
音程の間隔がわかってどうすんの!?というツッコミですが、音程の間隔がわかると、その音と音の音程が同じかどうか、どの程度違う音程なのか、がわかります。
身近な例でいうと、カラオケで「この人盛大に音外ずしてるなー」ってやつです。
いわゆる”音痴“というのは相対音感が足りない、ということになります。
とすると実は、ほとんどの人は相対音感を持っている、というか持っていない人は特殊なケース(音楽触れたことがないなど)を除いてないと言えるのです!
そして、絶対音感と相対音感は同居するのです。
私も両方ありますし、絶対音感がある人はみんな相対音感もあります。
じゃあ、いつどうやって使い分けているの?って話ですよね。
その話が次につながります。
絶対音感の長所
では、絶対音感の具体的な長所をあげます。
・ゆっくり曲を聞けばコピーできる
・不意になった音の音程を当てて友達をびっくりさせられる
以上です。
え?
そう、実はあんまり実用性がないんですよ、これが。
曲を聴いてキー(調)がわかる
曲のキー(調)が違うとすぐにわかります。人によっては気持ち悪く感じる人もいらっしゃるようです。
ただし、キーがわかっただけでは、曲は弾けません。
というか、逆に原曲を聴いて弾けばキーなんてわかるんですよ。相対音感を使えば。
これが役に立つのはチューナーがなく、かつ、音楽が鳴っていない場所、例えばお風呂場で歌ったりするときに「今日はこの音程が出ないなー」というのがわかるくらいです。
ゆっくり曲を聞けばコピーできる
ここは賛否がある部分だとわかっていますが、強く主張したい部分でもあります。
まずコピーというのは、聴いた曲を弾いたり、譜面やデータ、言葉で表したりして理解・再現できることを言います。
そのうえで、絶対音感で曲をコピーする人はまずいないと思っています。
なぜなら、絶対音感で曲をコピーするのは時間がかかるのです。
絶対音感というのは音一つ一つに対して”ド“だとか”ラ“だとかの情報が脳に入ってくるのです。
つまり、情報量がとても多くなります。
人間も機械もそうですが、情報量が多いとそれなりの処理能力が必要になるので、必然的に負担が大きくなり、処理に時間がかかるのです。
ただし、本当に絶対音感に頼って耳コピする人がいないとは否定はできません。
世の中には知らないだけで、普通では考えられない超人技をする人もいますからね…。
不意になった音の音程を当てて友達をびっくりさせられる
これは完全なネタですね(笑)
正直なところ、やったことありますよ…。(恥ずかし。)
しかし、何度も使えるものじゃありません。
宴会や会社の面接でもすべるだけなので、絶対に、絶対に使わないようにしましょう。
相対音感の長所
絶対音感の長所でなんとなく予想はついているかと思いますが、実用的な用途はほぼこちらです。
・音楽を楽しむことができる
・何歳になっても能力を伸ばすことができる
こちらの方が音楽を聴いたり、演奏したりするには絶対的に大事です!(相対音感ですが。)
曲をすばやくコピーできる
これは、絶対音感との対比になりますが、コピーはこちらの方が断然早いということになります。
相対音感は”音程の間隔“で音をとらえるため、情報量を削減できるのです。
例えば”ド“、”ミ“、”ソ“といった和音が鳴った場合、絶対音感では3つの音階があるため情報量が3つとなります。
相対音感の場合は、”ド“、”ミ“、”ソ“のどれかの音階を基準に間隔をとらえるので、”ド“を基準にすると”ド“と”ミ“の間隔と、”ド“と”ソ“の間隔、ということで情報量は2つになります。
もう一つの例だと、”ド“、”レ“、”ミ“、”ファ“、”ソ“、”ファ“、”ミ“、”レ“、”ド“というように音階を順番に鳴らした場合も同じです。
絶対音感では情報量が9つ、相対音感では情報量が8つとなります。
また、単純に情報量という単位で比較しましたが、それに加えて音階を選ぶ際のプロセスにも違いがあります。
絶対音感は1オクターブで考えると”ド“~”シ“の半音を含めた12個の音階から音を聞いたままに選ぶことになります。
絶対音感では、”ド“の音は”ド“としか比べられないし、”ミ“の音は”ミ“としか比べられないのです。
相対音感は、すでにわかっているキー(調)やなっている和音(和声・コード)からある程度、音程の選択肢が絞れます。
キーは12個の音階のうち7個の音階でできています。例えば”ドレミファソラシ“などです。7個の音階のどれなのか、7個の音階と違うのか、どの音とどう違うのかがすぐわかります。
また和音は3つの音階を基調に作られていて、”ドミソ“という音階で構成されている”Cメジャー”という和音でいうと、”ド”、”ミ”、”ソ“といった音などがよく使われますが、キーと同じで、それらの音階のどれなのか、違うのか、どう違うのかがすぐわかります。
話が難しくなってきましたが、少しまとめてみます。
・相対音感の情報量はなった音の数-1。音を選択するプロセスはキー(調)と和音と比べる。
結局まとめたところで難しいですね(笑)
本当は大学の卒業研究でこういうテーマもやってみたかったのですが…。
音楽を楽しむことができる
もうこれは言うまでもないですが、メロディーや和音の美しい響きを感じられるのは相対音感のおかげです。
絶対音感は音を言葉かイメージでしかとらえられません。
“ドレミドレミドレミドソー“という言葉の配列が…、鍵盤の動きが…、というのは音楽的ではないでしょう。
だから、皆さまが音楽を楽しめるのは相対音感をお持ちであるから、ともいえるのです。
何歳になっても能力を伸ばすことができる
これもまた大事なことで、かつ、素晴らしいことです。
絶対音感は幼少期にしか身に着けられませんが、相対音感は大人になっても身に着けられ、育てることができます。
今からでも遅くはありません。
もっと音楽を楽しめるようになるために、楽器に触ってみたり、歌を歌ってみたりしてみても良いのではないでしょうか。
必ずしも音楽理論を学ばなければいけないわけではありませんが、大人は子供と比べて知能が高いため、音楽理論から入った方がすんなりいく方も少なくないと思います。
まとめ
以上、絶対音感と相対音感の違いでした。
超簡潔にまとめます。
・相対音感は音楽をより楽しむためのもの
なるべく音楽がわからない方にもわかるように書いたつもりでしたが、もし興味を持っていただければ調べてみたり、ここで聞いていただいても構いません。
また、そんなの全然違うよ!って方も、そういう考えもあるのねって方も色々いらっしゃるかと思いますが、それによって議論が起こってより真実に近づくといいなと企んでおります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!良き人生を!
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