今回は有名なオープンハンドドラマーについて紹介していきたいと思います。
ドラマーならオープンハンド奏法に誰もが1度は憧れを持つものらしいのですが、左利きは左利き用のセッティングにすることもあり、採用している人は限られてきます。
私は右利きですが、オープンハンド奏法を採用して2021年現在で3年ほどになります。最初は難しいですが、慣れると意外と楽しいですよ!
さて、筆者が無類の邦楽好きということで知識が偏っているため、ここでは独断と偏見で6人+2人挙げさせていただきます!
サイモン・フィリップス(Simon Phillips)
ドラム界の言わずと知れたレジェンドです。ジャズピアニストの上原ひろみさんとのトリオバンドのメンバーとしても活動していて、日本でも有名なドラマーです。
サイモン・フィリップスさんは、右利きで最初はクロスハンドで叩いていましたが、17歳くらいからオープンハンド奏法に切り替えていったそうです。叩く手順は通常は右手からですが、左手からも叩けてしまいます(以後、主に右手(左手)から叩くスタイルは右手(左手)リードと表現します)。
ドラムセットは右利き用のセッティングで、ライドシンバルだけ逆の位置(ドラマーから見て左側)です。この配置はオープンハンドプレイヤーの定番スタイルです。
このサイモン・フィリップスさんのオープンハンド奏法にした理由というのが独特で、ハイハットシンバルの位置を下げてその上にタムを配置することで、多くのタムを手の届く範囲に効率的に並べたい、ということのようです。
ハイハットシンバルを低い位置にするとクロスハンドでは両手どうしぶつかって叩きにくくなるため、オープンハンド奏法にしたということになります。
そこまでしてタムをそこに置きたいんかい!っていうのは常人には理解しがたいですね。私には理解できませんでした…。
ビリー・コブハム(Billy Cobham)
オープンハンドドラマーの中のオープンハンドドラマーです。
ビリー・コブハムさんも右利きですが、オープンハンド奏法に切り替えたのが7歳というから驚きです。しかも、右手リードなのか左手リードなのかわからないぐらいに使い分けてしまっています。
ドラムのセッティングは右利き用のセッティングにライドシンバルが逆の位置になります。
以下の動画でデニス・チェンバースさん(Dennis Chambers)がビリー・コブハムさんについて説明しているのをさらにクリス・レッソさん(Chirs Lesso)という方が説明しているというものですが、ビリーコブ・ハムさんが左手リードを取り入れたことの優位性について説いています。
刄田綴色(畑利樹)
こちらは日本で言わずと知れた東京事変のドラマーです。RADWIMPSのサポートもされていて、そこではライブでツインドラム(ドラムが2人)というなかなか珍しい編成で演奏されています。
刃田綴色さんは左利きなので、左手リードになります。
セッティングは右利き用でライドシンバルが逆の位置です。2つめのフロアタムを逆側におくこともあるようです。フロアタムを正位置に1つだけ設置する場合は、フロアタムで刻むリズムパターンの時にクロスハンドで叩いているようです。
オープンハンド奏法が活かされているからなのかたくさんの魅力があり、それだけで記事を作れてしまうのですが、簡単にまとめさせていただくとこんな感じです。
・オープンハンド奏法独特のフレーズが面白い
・叩き方がかっこいい
・とにかく個性的(笑)
個性的というのは刄田綴色さんのYouTubeチャンネルをご覧いただければお分かりになるかと…。
SATOKO
FUZZY CONTROLのドラマーであり、DREAMS COME TRUEのサポートもされています。日本のドラム界で手数王の異名を持つ菅沼孝三さんが父親なのです!
SATOKOさんも左利き、左手リードで右利き用ライド逆セッティングです。
SATOKOさんはなんといっても、超絶テクニカルなことを涼しげにやってしまうところです。また、右利きが右利き用セッティングでできるフレーズで左利きがやると難しいフレーズというのが出てくるのですが、それも難なくこなします(例えば16音符のハイハットシンバルの刻みから2拍4拍にスネアを入れたり、ハイタムからフロアタムまでを2打ずつ叩いたり)。
手数王のお父様からの影響もあったり、幼少時代から様々な一流アーティストとの交流もあったはずなので実力は間違いないのです!
茂木欣一
叩いて歌える東京スカパラダイスオーケストラのドラマーです!そして海外で最近再評価されているフィッシュマンズのドラマーでもあるのです!(こちらが先ですけどね)
紹介する順番を完全に間違えているのですが、実はこの中で一番影響を受けたドラマーです。茂木欣一さんのスティックを使っていました。
茂木さんも左利きなので左手リードで、右利き用ライド逆セッティングです。オープンハンド奏法になった理由というのが、ドラムを叩く前から学校の机で指ドラムをしていたことからその名残だそうです。
ドラミングスタイルがオープンハンド奏法というだけで特異なのですが、スカというジャンルであることから、8分の裏をハイハットシンバルやライドシンバルで強調し、1拍3拍は休符で2拍4拍にスネアとバスドラムを同時にずしっと入れる独特のリズムパターンが多用されます。
それを真似するだけでも十分楽しいのですが、茂木さんに惹かれたのはフィルの流れるようなダイナミクスです。
音符で考えてしまうとそれほど難しいフレーズではないのですが、ダイナミクスを滑らかに大きくつけることでとても立体的に聴こえるようになるのです。
話がそれてしまいましたね…。
桜井雄一
LUNKHEADのドラマーです。ART-SCHOOLとしても活動されていました。世代的にご存じない方もいるかもしれませんが、私もLUNKHEADのコピーバンドをしたことがありました。
櫻井雄一さんも左利きなので、左手リードになりますが、今までの方々とセッティングが異なります。
だからこそ紹介させていただいたのですが、右利き用セッティングなのは足の部分だけで、上は左利き用セッティングのようになっているのです!
上の動画のサムネイル画像でおわかりかと思いますが、ライドは他の方々と同じく左側ですが、タムが右側から左側へ音程が低くなるセッティングでシンバル類も全体的に左側に寄っています。
自分がオープンハンド奏法に変えるときに、右利きの人が右利き用のセッティングで叩いたフレーズがクロススティッキングをしないと叩けない、というのが非常に悩みどころで、そんな時にとても参考になりました。
そのため、今自分は同じように上は左利き用セッティングにしていて、おかげさまで今もストレスなく続けられています。
ただ、桜井さんは普通に左利き用のセッティングで叩いていたこともあるそうで、なかなか器用な方ですよね…。
番外編
番外編ということで、どうしても紹介したいのに訳があって別枠で紹介させていただくお二方について書きます。
矢尾拓也
元パスピエのドラマーです。脱退後はNanakambaなどで活動されています。番外編で紹介することになった理由は…、
見ていただいてわかると思いますが、オープンハンド奏法を使う場面がかなり限定的です。
なにせ、矢尾拓也さんは右利きのドラマーであるため、16音符でシンバルを刻む場合は右手から叩きますし、ライドシンバルも利き手の右側にあることから使用頻度は必然的に減ります。
右利きオープンハンドドラマーにとっては、ここが悩みどころなんですよね…。
しかし、右利きのオープンハンドプレイヤーは珍しく、また先に紹介した刃田綴色さんに師事されてオープンハンド奏法を習得したということもあり、紹介しないわけにはいかなく選出させていただきました!
和田元気
なぜ和田元気さんを番外編で紹介することになったかというと、現在はドラムテックをメインに活動されているためです(迷いましたが…)。でも、どうしても紹介したい理由があったのです。
そうなんです、右手がレギュラーグリップなのです!
ジャズだとレギュラーグリップは当たり前なのですが、ロックやポップスといったジャンルにおいてメインでレギュラーグリップを使う人はまずおらず、ましてやオープンハンド奏法でバリバリ使う人は見たことがありません(探したらいるのかもしれませんが)。
もう、ただただかっこいいですね…。憧れます…。
先に挙げた刃田綴色さんの東京事変の曲や、矢尾拓也さんのパスピエの曲をコピーした動画があげげられています。美しい…。
まとめ
たくさんのドラマーが出てきたので、表にしてまとめてみます。
名前 | 利き手(リード) | セッティング | 備考 |
サイモン・フィリップス(Simon Phillips) | 右(左手リードも) | 右利き用(ライド逆) | レジェンド of レジェンド |
ビリー・コブハム(Billy Cobham) | 右(リードは両方) | 右利き用(ライド逆) | 生粋のオープンハンドドラマー |
刄田綴色(畑利樹) | 左 | 右利き用(ライド逆) | 事変とRAD! |
SATOKO | 左 | 右利き用(ライド逆) | 日本のレジェンド親子 |
茂木欣一 | 左 | 右利き用(ライド逆) | スカパラ!師匠! |
桜井雄一 | 左 | 右利き用(HHとBDのみ) | セッティングが超参考になりました! |
矢尾拓也 | 右 | 右利き用 | ・使用箇所が限定的 ・刄田綴色氏に師事 |
和田元気 | 左 | 右利き用(ライド逆) | ・ドラムテックが本業 ・レギュラーグリップ |
大きく分けると、右利きでオープンハンド奏法に切り替えたパターン、左利きで初めからオープンハンド奏法だったパターンがありました。リードまで利き手から逆に変えるパターンもあったことを考えると、左利きのオープンハンド奏法の方が自然なのかなと思ったり、思わなかったり…。
私もドラムを楽しみながら個性を極めていきたいと思います。皆さまも挑戦されてみてはどうでしょうか?
実は、最初はオープンハンド奏法についての記事を書こうと思って今の内容を書いていたのですが、熱が入ってあまりにも長くなりすぎてこのように切り離すことになりました(それでも長い)。その記事については以下を見ていただければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました!良き人生を!
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