双極症の治療薬・関連薬 比較一覧

ツール
データ確認基準: 2026/09/08時点
この一覧は医療情報の比較・整理を目的とするもので、個別の診断、処方選択、服薬の開始・中止・増減量を指示するものではありません。服薬変更は自己判断で行わず、症状の悪化や重大な副作用が疑われる場合は医師または薬剤師に相談してください。星評価は研究エビデンスの整理であり、効果量、安全性、個人への適否、薬剤間の総合的な推奨順位を示すものではありません。承認状況・電子添文・研究状況は更新されるため、最新の電子添文・公的資料も確認してください。
横断比較: 各分類タブで比較したい一般名の行を左端のチェックで選ぶと、「7. カスタム比較」にジャンル別の比較表としてまとまります。選択内容は端末内に保持されます。
星評価の基準
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症状・副作用などの用語解説

比較表に出てくる言葉を、薬の知識がなくても読み進められるように説明しています。薬が働く仕組み、症状の具体例、研究の数字の読み方を確認できます。表中の用語にカーソルを当てると説明が表示され、クリックするとこの欄へ移動します。関連薬リンクはその薬の行へ、関連用語リンクは説明先へ移動します。

躁状態

気分が普段より高ぶったり、強くいら立ったりし、活動量が大きく増える状態です。あまり眠らなくても動き続ける、話し続ける、浪費するなどの変化が続き、生活や対人関係に大きな支障が出ることがあります。

軽躁状態

普段より気分や活動量が高まるものの、躁状態ほど大きな生活上の支障には至らない状態です。本人は「調子がよい」と感じることもあるため、睡眠や買い物、話し方などの普段との違いも判断材料になります。

抑うつ状態

気分の落ち込みや、楽しめない・やる気が出ない状態が続くことです。疲れやすさ、眠りや食欲の変化、考えがまとまらないといった症状も含み、単に悲しい気持ちになることとは区別されます。

混合性

気分が落ち込んでいるのに考えや活動が止まらないなど、躁・軽躁とうつの側の症状が同じ時期に重なることです。気分の状態が年に何度も切り替わる「ラピッドサイクリング」とは別の特徴です。

アカシジア

体の内側から落ち着かなさが湧き、座っていられず歩き回ったり、足踏みしたりする症状です。薬を始めた後や増量した後に起こることがあり、不安や病気の悪化と間違われる場合があります。いつから、どんな動きをせずにいられないかを医療者へ伝えると判断の助けになります。

関連薬: アリピプラゾールリスペリドン(アカシジアが副作用として記載される薬の例)。これらをアカシジアの治療薬として挙げているわけではありません。

分類上の関係は錐体外路症状(EPS)を参照できます。

出典: 電子添文 / アリピプラゾール電子添文

錐体外路症状(EPS)

薬などの影響で起こる、体の動かしにくさや意図しない動きの総称です。手の震え、筋肉のこわばり、じっとしていられない状態などを含みます。「EPSあり」だけでは具体的な症状が分からないため、症状名も確認します。

関連薬: リスペリドンアリピプラゾール(運動症状への注意が記載される薬の例)。この並びは発生頻度の順位ではありません。

出典: 電子添文 / アリピプラゾール電子添文

ジストニア

筋肉が意思に反して強く縮み、首がねじれる、あごが開きにくい、目が上を向いたままになるなどの症状です。薬の開始・増量後に急に起こる場合があり、飲み込みや呼吸に関わるときは急いで受診する必要があります。

ジスキネジア

口をもぐもぐさせる、舌が勝手に動く、手足が繰り返し動くなど、自分の意思で止めにくい動きです。筋肉のこわばりや震えとは出方が違い、薬との関係や起こった時期も確認します。

遅発性ジスキネジア

抗精神病薬などを長く使った後に現れることがある、口・舌・手足などの勝手な動きです。薬を減らしたり中止したりした後も続く場合があるため、早めに動きの変化を相談します。

薬剤性パーキンソニズム

薬の影響で動作が遅くなる、筋肉がこわばる、手が震える、歩幅が小さくなる状態です。パーキンソン病に似た症状ですが、これが出たことだけでパーキンソン病と決まるわけではありません。

悪性症候群

薬に関連して、高い熱、強い筋肉のこわばり、受け答えの変化などが組み合わさって起こる重い状態です。大量の汗や速い脈を伴うこともあります。普段の眠気や震えとして様子を見ず、こうした変化が重なったら直ちに医療機関へ連絡します。

セロトニン症候群

神経の情報を伝えるセロトニンの働きが強くなりすぎ、発熱、汗、下痢、落ち着かなさ、震えや繰り返す筋肉のぴくつきなどが重なる状態です。関係する薬の併用や増量で起こることがあり、急な悪化や意識の変化がある場合は救急での対応が必要です。

躁転

うつの状態から、気分や活動量が高まる躁・軽躁の状態へ移ることです。抗うつ薬の使用中に起こる場合もありますが、薬だけが原因とは限りません。睡眠が減っても平気になるなどの変化も確認します。

ラピッドサイクリング

1年間に、躁・軽躁・うつといったまとまった症状の時期が4回以上みられる経過です。1日の中の気分の揺れを、そのまま1回ずつ数える意味ではありません。

急性期治療

今、強く出ている躁やうつの症状を和らげ、生活を安定させるための治療です。症状が落ち着いた後に再発を防ぐ治療とは、薬を選ぶ目的が異なる場合があります。

維持療法・再発予防

症状が落ち着いた後も、次の躁やうつの時期を起こしにくくするために続ける治療です。現在の症状への効果と、将来の再発を防ぐ効果は別に確かめる必要があります。

鎮静・傾眠

鎮静は興奮や反応が抑えられること、傾眠はうとうとするような眠気が強いことです。落ち着く効果と、日中の活動に困る眠気は分けて考えます。

起立性低血圧

立ち上がったときに血圧が下がり、立ちくらみや目の前が暗くなる感じが起こることです。転倒や失神につながる場合があり、起きるタイミングも医療者へ伝えます。

QT延長

心臓が1回拍動した後、次の拍動に備えるまでの電気的な回復時間が長くなることです。心電図で調べ、程度によっては危険な脈の乱れにつながります。自覚症状の有無だけでは判断できません。

トルサード・ド・ポワント(Torsades de pointes)

心臓の下側の部屋(心室)で、非常に速く不安定な脈が生じる危険な不整脈です。心電図のQT延長と関係し、失神や心停止を起こすことがあります。突然倒れたり反応がなくなったりした場合は救急対応が必要です。

無顆粒球症

細菌などから体を守る白血球の一種が、極端に減る状態です。感染症が重くなりやすく、高熱や強いのどの痛みが手掛かりになります。血液検査での確認が必要です。

麻痺性イレウス

腸の動きが弱くなったり止まったりして、便やガスが先へ進めなくなる状態です。お腹の張り、強い便秘、吐き気や嘔吐を伴う場合は、普段の便秘として放置せず受診します。

横紋筋融解症

筋肉の細胞が壊れ、その成分が血液へ流れ出す状態です。筋肉痛、力が入らない、尿が赤茶色になるなどの変化があり、腎臓を傷める場合もあるため早急な受診が必要です。

血栓症・血栓塞栓症

血液の固まりが血管をふさぐ状態です。固まりが別の場所へ流れ、肺の血管などを詰まらせることもあります。片脚の急な腫れや、突然の息苦しさ・胸痛は早急な受診が必要です。

高プロラクチン血症

乳汁の分泌などに関わるホルモン「プロラクチン」が血液中で増えることです。月経が止まる、授乳期でないのに乳汁が出る、性機能が変化する場合があり、症状がなく血液検査で分かることもあります。

SIADH・低ナトリウム血症

低ナトリウム血症は、血液中のナトリウム(塩分を構成する成分)の濃度が低くなることです。SIADHは、水分を体に残すホルモンが必要以上に働いて起こる原因の一つです。吐き気やだるさだけでなく、進行すると混乱・けいれんが出るため、自己判断で水や塩を調整せず受診します。

スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)・中毒性表皮壊死融解症(TEN)

薬などが原因となり、広い範囲の皮膚や目・口の粘膜が傷つく重い反応です。高熱、発疹、水ぶくれ、目の充血、口のただれなどが重なる場合は直ちに受診します。TENは特に広い範囲の皮膚がはがれる状態です。

抗コリン作用

唾液、腸の動き、排尿などを調節する物質「アセチルコリン」の働きを一部抑える作用です。口が乾く、便が出にくい、尿が出にくい、目がかすむほか、記憶や意識に影響することもあります。同じ作用のある薬を重ねると影響が強まる場合があります。

依存・離脱症状

薬を続けたことで体が慣れ、急に減らしたりやめたりすると不眠、不安、震えなどが出ることがあります。これを身体依存と離脱症状と呼び、薬を求める行動が制御できない「依存症」とは区別します。重い離脱もあるため中止方法は処方医と確認します。

関連薬: ロラゼパムでは連用後の急な減量・中止に伴う離脱への注意が示されています。

関連用語: ベンゾジアゼピン系薬の説明と併せて、薬群と中止時の問題を確認できます。

出典: PMDA電子添文

代謝系副作用

薬の使用に伴う、体重・血糖・血液中の脂肪などの変化をまとめた呼び方です。眠気のようには気付きにくい変化もあり、体重測定や血液検査で経過を確認します。

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

血糖を利用するためのホルモン「インスリン」の働きが足りず、脂肪の分解で生じる酸性の物質が増える重い状態です。強い渇き、嘔吐、腹痛、深く速い呼吸、意識の変化などが出る場合は救急受診が必要です。

振戦

手や指などが、意思に反して繰り返し震えることです。薬の影響を含め原因は複数あり、安静時か動かすときか、いつからかも判断材料になります。

筋強剛

筋肉が強くこわばり、手足を他の人に動かしてもらうときにも抵抗がある状態です。高熱や意識の変化を伴う場合は、単なる肩こりとは違う緊急の問題が考えられます。

痙攣

体が突っ張ったり、手足ががくがく動いたりする発作です。意識が変わることもあり、一部の薬は発作を起こしやすくする場合があります。長く続く、繰り返して意識が戻らない場合は救急対応が必要です。

呼吸抑制

呼吸が浅く・遅くなり、十分に空気を出し入れできなくなる状態です。眠気を起こす薬の重なりなどで起こることがあり、呼びかけへの反応が悪く呼吸も弱い場合は直ちに救急要請します。

前向性健忘

薬を使った後の出来事が記憶に残りにくくなることです。例えば、その間の会話や行動を後で思い出せない場合があります。昔の記憶を失うこととは区別します。

反跳性不眠

睡眠薬を減らしたりやめたりした後に、一時的に以前より眠れなくなることです。元の不眠が戻ったのか、減量に伴う変化なのかを、時期や経過から判断します。

高血糖

血液中のブドウ糖が多くなることです。強い渇き、水を多く飲む、尿が増えるなどが手掛かりになりますが、症状がない場合もあるため血液検査が重要です。

白血球減少・好中球減少

感染から体を守る白血球や、その一種の好中球が少なくなることです。減り方が大きいと感染しやすくなり、特に極端な減少は無顆粒球症として注意されます。

肝機能障害・黄疸

肝臓の細胞や胆汁の流れに障害が起こることです。血液検査のAST・ALT(肝細胞が傷つくと増えやすい酵素)などで確認します。黄疸は、胆汁の色素が増えて皮膚や白目が黄色くなることです。

CYP(シトクロムP450)

主に肝臓で、薬を別の物質へ変える働きをする酵素の仲間です。CYP3A4やCYP2D6などはその種類の名前で、薬によって利用する酵素が違います。併用薬が酵素の働きを変えると、薬の血中濃度も変わることがあります。

関連薬: スボレキサントは主にCYP3Aで代謝される側の薬です。

関連用語: CYP阻害・CYP誘導で、併用薬が代謝に与える影響を確認できます。

出典: PMDA電子添文

CYP阻害・CYP誘導

CYPという薬を代謝する酵素の働きを弱めるのが「阻害」、働きを増やすのが「誘導」です。代謝される薬の量が血液中で増えたり減ったりする原因になります。影響の程度と併用できるかは、薬の組合せごとに確認します。

関連薬: フルボキサミンはCYP1A2阻害によりラメルテオンの血中濃度を大きく上昇させるため、この2剤は併用禁忌です。

関連用語: CYP(シトクロムP450)は酵素群そのものの説明です。

出典: PMDA電子添文

半減期

血液中などの薬の濃度が半分になるまでの時間です。「その時間で薬がゼロになる」「その時間だけ眠る」という意味ではありません。腎臓・肝臓の働きや併用薬によって変わる場合があります。

関連薬: ロラゼパムの添付文書には血中濃度の推移と半減期が記載されています。

関連用語: CYP(シトクロムP450)は代謝経路の一つですが、ロラゼパムの主な代謝はグルクロン酸抱合という別の経路です。

出典: PMDA電子添文

TDM(治療薬物モニタリング)

血液中にどのくらい薬があるかを測り、効果と副作用を見ながら薬の量を調整する方法です。リチウムなどで使われます。採血が服用の何時間後かによって値の意味が変わるため、採血条件も重要です。

関連薬: 炭酸リチウム(血清濃度を測定して管理する薬)。リチウム中毒は、この管理が重要になる理由の一つです。

出典: PMDA リチウムの適正使用

腎機能・クレアチニンクリアランス

腎臓が血液から老廃物を取り除く働きの目安です。クレアチニンクリアランスは、筋肉から生じる老廃物「クレアチニン」を取り除ける量で推定します。腎臓から出ていく薬は、腎機能が低いと体に残りやすくなることがあります。

臨床試験・治験

人に協力してもらい、治療の効果や副作用などを調べる研究です。このうち、薬の承認を得るための資料を集める試験を「治験」と呼びます。研究中であることと、効果が証明されたことは別です。

第I相・第II相・第III相

薬を人で調べる段階の呼び方です。第I相は主に体内での動きや安全性、第II相は効果の見込みと量、第III相はより多くの人で効果・安全性を確かめます。段階が進んだことだけで承認が決まるわけではありません。

無作為化比較試験(RCT)

どの治療を受けるかを、くじ引きのような方法で分けて比較する試験です。年齢や症状などの違いが一方に偏りにくくなり、治療そのものの違いを調べやすくします。

プラセボ

調べたい薬の有効成分を含まず、見た目などを実薬に似せた比較用の薬です。服用への期待や自然な症状変化もあるため、実薬との結果の差を調べます。

主要評価項目(Primary endpoint)

試験の結論を判断するために、最も重視すると事前に決めた測定項目です。例えば「6週間後のうつ症状の点数の変化」です。多くの測定項目の中で、良かったものだけを後から選ぶことを防ぎます。

オープンラベル試験

参加者も医療者も、どの薬を使っているかを知っている試験です。実際の使用経過を調べられますが、期待が症状の報告や評価に影響する可能性もあります。

単剤療法

対象とする病気や治療目的に、基本的に1種類の薬を使う方法です。試験で「単剤」と書かれていても、別の病気の薬などがすべて禁止されるとは限らず、試験条件を確認します。

補助療法・併用療法

元の治療に別の薬を加えたり、複数の薬を組み合わせたりする方法です。「追加した場合の効果」が示されても、その薬だけで同じ効果が出ると決まるわけではありません。

承認申請

薬を販売したり、使える病気を追加したりする許可を得るため、効果・安全性・品質の資料を提出する手続きです。「申請中」は審査を受けている段階であり、「承認済み」とは異なります。

PK(薬物動態)

薬が体に吸収され、各部へ届き、別の物質へ変わり、尿などへ出るまでの動きです。PKはこの意味の英語の略です。血液中の濃度や半減期は、薬が体にどのくらい残るかを読む手掛かりになります。

アゴニスト(作動薬)

細胞が信号を受け取る部分(受容体)に結び付き、その受容体を働かせる薬です。受容体をスイッチに例えると、押して反応を起こす側です。

アンタゴニスト(拮抗薬)

細胞が信号を受け取る部分(受容体)に結び付き、他の物質がそこで作用するのを妨げる薬です。受容体を直接壊すという意味ではありません。

部分アゴニスト(部分作動薬)

受容体に結び付いて働かせますが、最大の反応は完全に働かせる薬より小さい薬です。他の物質が強く働いている場面では、その働きを抑える側に見えることもあり、単に「効果が半分の薬」という意味ではありません。

逆作動薬(Inverse agonist)

受容体が何も結び付いていないときにも持つ活動を、さらに下げる薬です。他の物質の結合を妨げるだけの拮抗薬とは、作用の仕方が異なります。

受容体占有率

薬の作用先である受容体のうち、どれくらいに薬が結び付いているかを示す割合です。例えば50%は半分を占めている意味で、患者の半数に効くという意味ではありません。

ドパミンD2受容体

神経の情報を伝える「ドパミン」を受け取る部分の一種です。多くの抗精神病薬がここに作用します。動きの調節やホルモンにも関わるため、治療効果だけでなく体のこわばりなどの副作用とも関係します。

関連薬: リスペリドン(D2受容体を遮断)、アリピプラゾール(D2受容体に部分作動)。薬剤の作用機序欄を比較できます。

運動症状については錐体外路症状(EPS)も参照できます。

出典: 電子添文 / アリピプラゾール電子添文

ドパミンD3受容体

ドパミンという神経の情報を伝える物質を受け取る部分の一種です。感情や意欲に関わる脳の回路などにあり、一部の薬はD2とD3の両方に作用します。数字は種類の名前で、強さの順番ではありません。

セロトニン5-HT1A受容体

セロトニンという神経の情報を伝える物質を受け取る部分の一種です。不安や気分などの調節に関わります。「5-HT」はセロトニンの略称で、「1A」は受容体の種類です。

セロトニン5-HT2A受容体

セロトニンの信号を受け取る部分の一種です。多くの新しい世代の抗精神病薬がこの働きを抑えます。他の受容体への作用も組み合わさるため、ここへの作用だけで薬の効果を判断しません。

セロトニン5-HT2C受容体

セロトニンの信号を受け取る部分の一種で、食欲などの調節にも関わります。ここへの作用が食欲や体重の変化に関係する場合がありますが、体重は生活や他の薬の作用にも影響されます。

ヒスタミンH1受容体

ヒスタミンという物質の信号を受け取る部分です。脳では目覚めの維持や食欲にも関わるため、働きを抑える薬で眠気や食欲増加が出ることがあります。

関連薬: リスペリドン(H1受容体にも作用する薬の例)。作用機序と副作用の欄を併せて確認できます。

出典: 電子添文

α1アドレナリン受容体

血管を縮める信号などを受け取る部分です。「α1」は「アルファ1」と読みます。この働きを抑えると血圧が下がり、立ちくらみの原因になることがあります。

ムスカリン性アセチルコリン受容体

アセチルコリンという物質の信号を受け取る部分の仲間です。唾液、腸、膀胱の動きや、脳の記憶・注意などにも関わります。働きを抑えると口の渇きや便秘などにつながります。

GABA-A受容体

神経の活動を抑える物質「GABA(ギャバ、γ-アミノ酪酸)」の信号を受け取る部分です。一部の睡眠薬や抗不安薬は、ここでGABAの働きを強め、神経の活動を落ち着かせます。

関連薬: ロラゼパムはGABAの作用を強める薬の一例です。

関連用語: ベンゾジアゼピン結合部位で、受容体と薬が結び付く場所を確認できます。

出典: PMDA電子添文

ベンゾジアゼピン結合部位

神経の活動を抑えるGABA-A受容体の中にある、薬が結び付く場所です。ベンゾジアゼピン系薬や一部の睡眠薬はここに作用して、GABAによる抑制を強めます。

関連薬: ゾルピデムはその例で、添付文書ではω1(BZD1)受容体への選択的な親和性が説明されています。

関連用語: Z薬は構造による呼び分け、GABA-A受容体は作用先を理解する手掛かりです。

出典: PMDA電子添文

オレキシンOX1/OX2受容体

起きている状態を保つ物質「オレキシン」の信号を受け取る部分です。OX1とOX2はその2種類を指します。ここを遮る睡眠薬は、覚醒を維持する信号を弱めます。

関連薬: スボレキサントはOX1とOX2の両方へのオレキシンの結合を妨げます。

関連用語: DORA(デュアルオレキシン受容体拮抗薬)は、この両方を標的にする薬群の名称です。

出典: PMDA電子添文

DORA(デュアルオレキシン受容体拮抗薬)

覚醒を保つオレキシンの2種類の受容体(OX1・OX2)を、どちらも遮る睡眠薬の分類です。DORAはその英語の略称です。同じ分類でも、体に残る時間や併用の条件は薬ごとに異なります。

関連薬: スボレキサントはこの分類の具体例です。

関連用語: オレキシンOX1/OX2受容体で作用先、CYP(シトクロムP450)で代謝に関する用語を確認できます。

出典: PMDA電子添文

メラトニンMT1/MT2受容体

夜を知らせるホルモン「メラトニン」の信号を受け取る部分です。MT1とMT2はその種類の名前で、眠りや約24時間の体内時計の調節に関わります。

関連薬: ラメルテオンはMT1・MT2受容体を刺激する薬です。

関連用語: メラトニン受容体作動薬の「作動」は、受容体を刺激することを意味します。

出典: PMDA電子添文

SERT(セロトニントランスポーター)

神経細胞の間に出たセロトニンを、放出した側の細胞へ回収するたんぱく質です。セロトニンは神経の情報を伝える物質で、この回収を抑えると細胞の間で作用しやすくなります。SERTは回収を担う仕組みの略称です。

NET(ノルアドレナリントランスポーター)

神経細胞の間に出たノルアドレナリンを、放出した側へ回収するたんぱく質です。ノルアドレナリンは注意や覚醒などに関わる情報を伝えます。NETはその回収を担う仕組みの略称です。

DAT(ドパミントランスポーター)

神経細胞の間に出たドパミンを、放出した側へ回収するたんぱく質です。ドパミンは意欲や運動などに関わる情報を伝えます。DATはその回収を担う仕組みの略称です。

再取り込み阻害

神経細胞の間へ出た情報伝達物質を、元の細胞へ回収する働きを抑えることです。回収が遅くなると、その物質が細胞の間で作用しやすくなります。薬によって、どの物質の回収を抑えるかが違います。

NMDA受容体

神経の活動を促す物質「グルタミン酸」の信号を受け取る部分の一種です。記憶や学習に伴う神経のつながりの変化にも関わります。NMDAはこの受容体を区別する名前で、研究薬の作用先として表に出てきます。

AMPA受容体

神経の活動を促すグルタミン酸の信号を、素早く伝える受容体です。同じグルタミン酸に反応するNMDA受容体とは性質が異なり、表では薬がどちらに作用するかを区別します。

グルタミン酸

脳や脊髄で、主に次の神経細胞の活動を促す情報伝達物質です。食べ物に含まれる成分と同じ名前ですが、表では脳内の信号伝達について述べています。受け取り先にはNMDA受容体やAMPA受容体などがあります。

電位依存性Naチャネル

神経細胞の電気的な変化に応じて開き、ナトリウム(Na)を通す小さな通り道です。神経の電気信号を生む働きがあり、一部の薬はここを抑えて過剰な興奮を起こしにくくします。

電位依存性Caチャネル

細胞の電気的な変化に応じて開き、カルシウム(Ca)を通す通り道です。神経から情報伝達物質を放出する働きなどに関わります。薬が作用する通り道の種類や部品によって作用は異なります。

正のアロステリック調節(PAM)

受容体の通常の信号が結び付く場所とは別の場所に薬が結び付き、信号への反応を強めることです。PAMはその作用を表す略称で、直接スイッチを押す作動薬とは区別します。

気分安定薬

躁やうつの治療、または再発を防ぐために使う薬をまとめた呼び方です。リチウムなどがありますが、何を含めるかは資料によって異なります。どの薬も躁・うつ・再発予防のすべてに同じように効く、という意味ではありません。

第一世代抗精神病薬(FGA)

以前から使われている抗精神病薬の分類で、主にドパミンという情報伝達物質の受容体を遮ります。「定型抗精神病薬」とも呼びます。古い分類だから一律に効果が弱い、という意味ではありません。

第二世代抗精神病薬(SGA)

第一世代より後に登場した抗精神病薬の分類です。ドパミンに加えセロトニンなどへの作用も持つ薬があり、「非定型抗精神病薬」とも呼びます。副作用の種類や程度は、同じ世代でも薬ごとに違います。

SSRI

セロトニンという情報伝達物質の回収を主に抑える抗うつ薬です。日本語では「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」と呼びます。作用の仕組みを表す分類であり、双極症のうつにそのまま適しているという意味ではありません。

SNRI

セロトニンとノルアドレナリンという2種類の情報伝達物質の回収を抑える抗うつ薬です。回収役のたんぱく質をそれぞれSERT・NETと呼びます。2種類に作用することだけで、他の抗うつ薬より強いとは判断できません。

三環系抗うつ薬(TCA)

化学構造に3つの環がある、以前から使われている抗うつ薬の分類です。神経の情報伝達物質の回収を抑えるほか、口の渇きや便秘を起こす作用を併せ持つ薬もあります。

四環系抗うつ薬

化学構造に4つの環がある抗うつ薬の分類です。環の数は薬の強さを表す数字ではありません。作用する場所や眠気などの副作用は薬ごとに違います。

NaSSA

神経伝達を抑える側の受容体などに作用し、ノルアドレナリンとセロトニンによる伝達を調節する抗うつ薬の分類です。ミルタザピンが代表例です。回収を直接抑えるSSRIやSNRIとは作用の仕方が異なります。

SARI

セロトニンの回収を抑える作用と、セロトニンを受け取る一部の受容体を遮る作用を併せ持つ抗うつ薬の分類です。トラゾドンが例です。同じ物質に対して、作用する場所によって異なる働きをする点が特徴です。

ベンゾジアゼピン系薬

神経の活動を抑えるGABA(ギャバ)の働きを強め、不安や眠れない症状などに使う薬の分類です。筋肉を緩める作用などもあり、眠気やふらつき、継続使用後の離脱にも注意します。

関連薬: ロラゼパムは不安・緊張などに用いる例です。

関連用語: 依存・離脱症状は継続使用や中止に伴う問題、半減期は血中濃度の減り方を説明しています。

出典: PMDA電子添文

Z薬

ゾルピデムなど、一部の睡眠薬をまとめた呼び方です。化学構造はベンゾジアゼピン系と違いますが、神経を落ち着かせるGABAの働きを強める点は共通します。依存や離脱が起こらないという意味ではありません。

関連薬: ゾルピデムの添付文書にも依存性と急な減量・中止による離脱症状が記載されています。

関連用語: 依存・離脱症状ベンゾジアゼピン結合部位も参照してください。

出典: PMDA電子添文

メラトニン受容体作動薬

夜を知らせるホルモン「メラトニン」の受容体を刺激して、眠りを促す薬です。ラメルテオンが例で、眠りに入りにくい症状に用います。睡眠の問題すべてに同じ効果があるわけではありません。

関連薬: ラメルテオンの承認適応は「不眠症における入眠困難の改善」です。

関連用語: メラトニンMT1/MT2受容体が作用先です。

出典: PMDA電子添文

抗てんかん薬・抗けいれん薬

脳の過剰な電気活動による発作を抑える薬の分類です。一部は双極症の治療にも使われますが、すべての抗てんかん薬に双極症への効果や承認があるわけではありません。

抗コリン薬

アセチルコリンという情報伝達物質の働きを一部抑える薬です。薬の影響による体のこわばりなどに使う場合がありますが、口の渇き、便秘、記憶や意識への影響も起こり得ます。

β遮断薬

心拍などを高める信号を受け取る「ベータ受容体」の働きを抑える薬です。心臓・血圧の治療のほか、薬によっては震えなどにも使われます。精神科での使用目的と国内の承認範囲は別に確認します。

NSAIDs

痛み、熱、炎症を抑える「非ステロイド性抗炎症薬」の略称です。ロキソプロフェンなどが例です。胃腸や腎臓への影響があり、リチウムの血中濃度を高める組合せなど、他の薬との相互作用も確認します。

アセトアミノフェン

痛みや熱を和らげる薬です。ロキソプロフェンなどの抗炎症薬とは性質が異なりますが、使い過ぎで肝臓を傷めることがあります。市販の風邪薬などとの成分の重複にも注意が必要です。

双極I型

生活に大きな支障を生む「躁状態」を少なくとも1回経験した双極症の型です。うつの時期も起こり得ますが、型の数字だけでその人の生活上の困難すべてを表せるわけではありません。

双極II型

「軽躁状態」と「うつ状態」の時期を経験し、躁状態は経験していない双極症の型です。「II型だから病気全体が軽い」という意味ではなく、うつの症状で大きく困る場合もあります。

気分エピソード

躁、軽躁、うつなどの症状が、一定期間まとまって続く時期のことです。一時的な喜びや落ち込みを、そのまま1つのエピソードと数えるわけではありません。

寛解

症状がほとんどなくなるか、十分に軽くなった状態です。研究では症状の点数が一定以下などの基準で決めます。「今後も再発しない」「治療がもう不要」という意味ではありません。

治療反応(Response)

治療によって、事前に決めた程度以上に症状が改善することです。研究では症状の点数が半分以下になるなどの基準を使います。改善していても症状が残る場合があり、寛解とは区別します。

再燃(Relapse)

いったん軽くなった症状が、十分に回復する前に再び悪化することです。研究によって区切り方が違うため、「再燃率」を比べるときは定義と観察期間を確認します。

再発(Recurrence)

いったん回復した後に、新しい躁やうつの時期が起こることです。再発を防ぐ効果を読むときは、どちらの症状の再発か、何か月・何年調べたのかも重要です。

精神病性症状

実際にはない声が聞こえる、自分への危害などを強く確信し周囲の説明では修正しにくい、といった症状です。重い躁やうつに伴うこともあり、症状だけから病名が一つに決まるわけではありません。

易刺激性

普段よりいら立ちやすく、些細な刺激にも怒りが強く出やすいことです。気分が高揚していなくても躁・軽躁の一部として出る場合があり、睡眠や活動量の変化も一緒に見ます。

賦活

抗うつ薬などの開始・増量後に、不安、眠れなさ、落ち着かなさ、活動量などが強まることです。「薬が効いて元気になった」とだけ判断せず、苦痛や普段との違いも確認します。躁転とは必ずしも同じではありません。

適応外使用(Off-label)

国が承認した病気・症状や、使う量・方法の範囲から外れて薬を使うことです。医学的な根拠がある場合もありますが、承認の有無と健康保険の扱いは別の問題です。

国内承認・海外承認

日本または外国で、その病気や使い方について薬の使用が認められていることです。外国で承認されていても、日本で同じ使い方が承認されているとは限りません。

効能・効果

その薬が、どの病気や症状に使えるとして承認されているかを示す項目です。効果が期待されるすべての場面を網羅した一覧ではありません。

用法・用量

薬の量、使う回数、飲み方や増減方法などを示す項目です。年齢や腎臓・肝臓の状態によって条件が異なる場合があり、表の量をそのまま自己調整に使うものではありません。

禁忌

病気や体の状態などの理由で、その薬を使ってはいけないとされる条件です。「気を付ければ誰でも使える」という区分ではありません。

併用禁忌

危険な相互作用などのため、一緒に使ってはいけない薬の組合せです。飲む時刻をずらせばよいとは限らないため、処方薬も市販薬も医師・薬剤師へ伝えます。

併用注意

一緒に使うと薬が効き過ぎる、効きにくくなる、副作用が増えるなどのため、量の調整や観察が必要な組合せです。一律に禁止という意味ではありませんが、自己判断で問題ないと決める区分でもありません。

電子添文

薬の使い方、使えない条件、副作用、他の薬との影響などをまとめた電子版の添付文書です。主に医療者向けで、患者向けの説明書とは詳しさや言葉遣いが異なります。

適応追加

既に使われている薬について、新しい病気や対象者などへの使用が追加で承認されることです。「研究で使われた」「申請した」だけでは、適応追加が完了したことにはなりません。

先発医薬品・後発医薬品

先発品は新薬として先に承認された製品、後発品は対応する有効成分などを持つジェネリック製品です。効果が同等となることを確認して承認されますが、添加物や形、製品ごとの承認適応が異なる場合があります。

二重盲検(Double-blind)

参加者と治療を評価する側が、どの薬を使っているか分からないようにする方法です。期待や思い込みで報告・評価が変わるのを減らします。具体的に誰に情報を伏せたかは試験ごとに確認します。

プラセボ対照試験

有効成分を含む薬と、見た目などを似せた比較用の薬を比べる試験です。症状の自然な変化や服用への期待を含めた結果と、実薬を使った結果の差を調べます。

実薬対照試験(Active-controlled trial)

新しい薬などを、既に使われている別の薬と比べる試験です。比較相手が違えば結論の意味も変わるため、薬名だけでなく量や試験期間も確認します。

系統的レビュー

調べる問いと研究の探し方を先に決め、関連する研究を集めて評価する方法です。都合のよい研究だけを選びにくくしますが、元の研究に偏りがあれば結論にも影響します。

メタ解析(Meta-analysis)

複数の研究の数字をまとめ、全体としての効果を計算する方法です。研究をまとめるだけで確実になるわけではなく、対象者や治療方法の違い、研究の質も確認します。

MADRS

うつ症状の程度を、面接などで点数にする評価方法です。悲しさ、眠り、食欲、集中などを調べ、一般に高い点数ほど症状が重いことを示します。点数の変化は研究での薬効評価にも使われます。

YMRS

躁症状の程度を点数で表す評価方法です。気分、活動量、睡眠、話し方などを調べます。点数が下がるほど改善したと読むのが基本ですが、その人の生活上の困難をすべて表すわけではありません。

CGI-BP

医療者が、双極症の重さや治療前からの改善を全体として段階評価する方法です。躁・うつなどを総合して見ます。略称だけでなく、重症度と改善度のどちらを評価したかも確認します。

HAM-D(HDRS)

うつ症状の程度を点数で表す「ハミルトンうつ病評価尺度」です。気分、睡眠、体の症状などを評価します。同じうつの評価でも、別の尺度の点数とそのまま大小比較することはできません。

効果量(Effect size)

治療した群と比較相手で、結果がどのくらい違うかを表す数字です。例えば症状の点数の差や、改善した人の割合の比があります。数字の単位・比較相手・測定時点をそろえて読み、星の数とは区別します。

信頼区間(CI)

研究で推定した効果が、どの程度不確かなのかを幅で示すものです。幅が広いほど、効果の大きさを絞り込みにくいと読みます。「95%信頼区間」は、患者の95%がその範囲で改善するという意味ではありません。

p値

「比較する治療に差がない」などの仮定を置いたときに、観察された結果と同じかそれ以上に極端な結果が出る確率です。小さいほどその仮定とは合いにくいと読みますが、薬の効果の大きさや、仮定が正しい確率ではありません。

オッズ比(OR)

ある結果が「起こる確率÷起こらない確率」をオッズと呼び、それを2群で比べた数字です。例えば確率20%のオッズは20÷80で0.25です。オッズ比2を、そのまま「確率が2倍」とは読めません。

リスク比(RR)

ある結果が起きる確率を2群で比べた数字です。例えば20%と10%ならリスク比は2ですが、割合の差は10ポイントです。改善を数えたのか副作用を数えたのかで、よい方向は変わります。

ハザード比(HR)

再発などが起きるまでの時間を考慮し、まだ起きていない人で、その時点の起こりやすさを群間で比べる指標です。1より小さい場合は比較対象より起こりにくい方向ですが、「最終的な再発者数が同じ割合だけ減る」とは限りません。

NNT

比較相手より追加で1人に改善などが得られるまでに、何人を治療する必要があるかの目安です。例えば改善率が10ポイント高ければNNTは10です。対象とする結果と観察期間を添えて読みます。

NNH

比較相手より追加で1人に副作用などが起こるまでに、何人を治療すると見込まれるかの目安です。NNTと違い、有害な結果を数えます。何の副作用か、どの期間かで数字は変わります。

ITT解析

くじ引きのように治療群を分けた参加者を、途中で薬をやめても原則として最初の群のまま比べる考え方です。治療を続けられた人だけを選ぶ偏りを減らします。ただし欠けたデータの扱いも確認が必要です。

脱落率

研究に参加した後、最後まで治療や評価を終えなかった人の割合です。効果不足、副作用、通院の都合など理由はさまざまで、数字だけで薬の使いやすさを決めることはできません。

有害事象(AE)

治療や研究の間に起きた、体調の悪化や好ましくない医学的な出来事です。薬が原因かどうかは問いません。薬と無関係な感染症なども含まれるため、副作用の件数と同じとは限りません。

副作用(ADR)

好ましくない出来事のうち、薬との関係が少なくとも疑われるものです。関連が疑われることと、原因が確定したことは別です。研究の「有害事象」の数字と比較する際は、集計の条件を確認します。

重篤な有害事象(SAE)

死亡、命の危険、入院、重大な障害などにつながった、または医学的に特に重要な出来事です。「重篤」は結果や必要な対応による区分で、痛みなどの強さだけを意味しません。薬が原因とは限らず、頻度もこの略称だけでは分かりません。

忍容性(Tolerability)

副作用や不快な作用があっても、治療をどれだけ続けられるかという観点です。薬が効くかどうかとは別で、眠気などが生活にどれほど影響するかも関係します。

副次評価項目(Secondary endpoint)

試験で最も重視する項目に加え、補足として調べる結果です。例えば主な症状の改善に加えて睡眠や生活の質を調べます。一部だけ良い結果でも、試験全体の成功を意味するとは限りません。

NCT番号

米国の臨床研究登録サイト「ClinicalTrials.gov」で、研究ごとに付く番号です。NCTから始まり、同じ研究を特定するために使います。登録されていること自体は、効果の証明や薬の承認を意味しません。

入眠困難

寝ようとして床に入っても、なかなか眠りに入れないことです。何分くらいかかるか、何日続くか、日中に困っているかも確認します。

中途覚醒

眠っている途中で目が覚め、再び眠るまでに時間がかかることです。目が覚める回数だけでなく、起きている合計時間や翌日の影響も重要です。

早朝覚醒

起きたい時刻よりかなり早く目が覚め、その後眠れないことです。単に早起きの習慣がある場合とは区別し、本人の希望や日中の支障を確認します。

熟眠障害

時間としては眠っていても、十分に休めた感じがしないことです。睡眠時間だけでなく、眠りの途中の状態や日中の眠気・疲れも確認します。

睡眠潜時

寝ようとしてから実際に眠るまでの時間です。研究では本人の記録か検査による測定かで値が異なることがあり、測り方も併せて読みます。

総睡眠時間(TST)

一晩に実際に眠っていた時間を合計したものです。床で起きていた時間は含めません。床に8時間いても、眠っていた時間が6時間なら総睡眠時間は6時間です。

睡眠効率

床にいた時間のうち、眠っていた時間の割合です。例えば8時間床にいて6時間眠れば75%です。割合が高くても、必要な睡眠時間が足りているとは限りません。

持ち越し効果

睡眠薬などの作用が翌朝や日中にも残り、眠気、ふらつき、集中しにくさなどが出ることです。夜に眠れたかだけでなく、翌日の活動への影響も確認します。

耐性

同じ量を使い続けるうちに、その作用が弱くなることです。薬によって起こり方は異なり、効きにくく感じても自己判断で増量しません。中止で症状が出る身体依存とは区別します。

運動失調

手足の動きやバランスがうまく合わず、まっすぐ歩けない、物をつかみにくいなどの状態です。単に筋力が弱いこととは違い、急に出た場合は薬以外の病気も含めた確認が必要です。

構音障害

口や舌などをうまく動かせず、ろれつが回らない・発音がはっきりしないことです。言葉の意味が分からない状態とは区別します。突然出た場合は脳の病気などもあるため急いで受診します。

ふらつき・転倒

バランスを崩したり、倒れたりすることです。眠気、筋肉が緩む作用、立ち上がった際の血圧低下などが重なる場合があり、起きる時間帯や服薬との前後関係も確認します。

奇異反応

落ち着かせる目的の薬で、逆に興奮する、怒りっぽくなる、行動の抑えが利きにくくなることです。薬を飲んだ後の変化として伝え、単に元の病気が悪くなったと決めつけないようにします。

複雑睡眠行動

十分に目覚めていないまま歩く、食べるなどの行動をし、後で覚えていないことがある状態です。睡眠薬に関連する場合があり、事故につながるため気付いたら速やかに処方医へ連絡します。

抗うつ薬中止症候群

抗うつ薬を急に減らしたりやめたりした後に、めまい、吐き気、不安、不眠、電気が走るような違和感などが出ることです。病気の再発とは区別して考え、中止の時期と症状の始まりを確認します。

体重増加

治療中に体重が増えることです。食欲や活動量、体のエネルギーの使い方など複数の要因が関わります。薬ごとの傾向はあっても、全員が同じように増えるわけではありません。

食欲亢進

普段より空腹を感じやすい、食べたい気持ちが強い状態です。一部の薬が食欲に関係する受容体へ作用することも原因になります。体重の変化と一緒に経過を確認します。

脂質異常症

血液中のコレステロールや中性脂肪のバランスが望ましくない状態です。自覚症状がないことも多く、採血で確認します。薬の影響だけでなく、体質や生活なども関係します。

高トリグリセリド血症

血液中の中性脂肪が多いことです。「トリグリセリド」は中性脂肪の別名です。薬の使用に伴う体重・血糖の変化などと併せて確認します。

メタボリックシンドローム

お腹の内臓の周りに脂肪がたまることを背景に、血圧・血糖・血液中の脂肪の問題が重なる状態です。単に体重が重いという意味ではなく、検査を組み合わせて評価します。

無月経

月経が一定期間来ないことです。薬に関連したホルモンの変化で起こる場合もありますが、妊娠など別の原因もあるため、薬のせいと決めず相談します。

乳汁漏出

授乳している時期ではないのに、乳汁が出ることです。乳汁を作るホルモン「プロラクチン」が薬の影響などで増える場合に起こります。

性機能障害

性欲の低下、勃起や射精の難しさ、性的な満足感が得にくいなどの変化です。薬、ホルモン、病気や体調など複数の原因があり、治療を続けるうえで相談してよい症状です。

甲状腺機能低下症

体の活動を調節する甲状腺ホルモンの働きが足りなくなることです。だるさ、寒がり、体重増加などが出る場合があり、血液検査で確認します。リチウム治療中の確認項目の一つです。

副甲状腺機能亢進・高カルシウム血症

体内のカルシウム量を調節する副甲状腺の働きなどが強まり、血液中のカルシウムが増えることです。症状だけでは気付きにくく、リチウムの長期使用では採血などで確認する場合があります。

腎性尿崩症

腎臓が水分を体に残すホルモンに反応しにくくなり、薄い尿が大量に出ることです。強い渇きや脱水につながる場合があり、リチウム治療中にも注意されます。

多尿・口渇

尿の量が増えたり、のどが強く渇いたりすることです。血糖上昇や、腎臓が水分を保ちにくくなる状態などでも起こるため、水を飲む量・尿量の変化を相談します。

リチウム中毒

リチウムが体にたまり過ぎるなどして、震え、下痢、吐き気、歩きにくさ、意識の変化などが出る状態です。脱水や併用薬がきっかけになることもあります。普段と違う症状が重なる場合は速やかな受診が必要です。

関連薬: 炭酸リチウム(中毒の原因となる成分)。血中濃度管理の考え方はTDM(治療薬物モニタリング)を参照できます。

出典: PMDA リチウムの適正使用

脱水

体に必要な水分が不足することです。発熱、下痢、汗を多くかく、飲めないなどで起こります。腎臓から出る薬が体に残りやすくなり、特にリチウム中毒の原因になる場合があります。

血小板減少

出血を止める役割の血小板が、血液中で少なくなることです。あざが増える、鼻血が止まりにくいなどが手掛かりになりますが、検査で初めて分かる場合もあります。

汎血球減少

酸素を運ぶ赤血球、感染と闘う白血球、出血を止める血小板が、いずれも減ることです。息切れや疲れ、感染しやすさ、出血しやすさが問題になり、血液検査で確認します。

再生不良性貧血

骨の内部で血液の細胞を作る「骨髄」の働きが低下し、赤血球・白血球・血小板が減る病気です。だるさだけでなく感染や出血にも関わる、重い血液の障害です。

DRESS

薬に関連して、発疹や発熱に加え、肝臓など全身の臓器に障害が出る重い反応です。血液中の好酸球という白血球の一種が増えることもあります。開始から時間がたって出る場合もあり、発熱と広い発疹などは早急に受診します。

アナフィラキシー

薬などへのアレルギー反応が、短時間で全身に広がることです。じんましんに加えて息苦しさ、のどの違和感、血圧低下などが出る場合があり、命に関わるため直ちに救急対応が必要です。

血管浮腫

唇やまぶた、舌などが急に腫れることです。皮膚の表面だけでなく深い部分に起こります。舌やのどが腫れ、声や呼吸が変わった場合は直ちに救急受診します。

急性腎障害(AKI)

短い期間で腎臓の働きが落ち、老廃物や水分を十分に調節できなくなることです。尿が減る、むくむなどの変化が出る場合があり、脱水や薬など原因を調べる必要があります。

肝不全

肝臓の働きが大きく落ち、体内の物質処理や血を止める仕組みなどを保てなくなる重い状態です。黄疸、出血しやすさ、意識の変化などを伴う場合は早急な対応が必要です。

急性膵炎

消化を助ける液やホルモンを作る膵臓(すいぞう)に、急な炎症が起こることです。強いみぞおちの痛み、背中の痛み、嘔吐などがあり、薬が原因になる場合もあります。

自殺念慮・自殺行動

死にたいと考えることや、自ら命を絶とうとする行動です。病気の症状、生活の出来事、治療中の変化などを含めて評価します。今すぐ行動に移しそうな場合は一人にならず、救急や身近な人の助けを求める必要があります。

流涎

唾液が口から垂れることです。「りゅうぜん」と読みます。唾液が増える場合と、うまく飲み込めない場合があり、むせや眠気の有無も確認します。

寡動

自分から動くことが減り、動作が小さく遅くなる状態です。「かどう」と読みます。薬に関連した体の動かしにくさでも起こり、意欲がないことだけで説明できるとは限りません。

歩行障害

足が出にくい、歩幅が小さい、ふらつくなど、歩く動作が難しくなることです。薬の眠気や筋肉への影響を含め原因は複数あり、いつからどんな歩き方になったかを確認します。

嚥下障害

食べ物や飲み物、唾液をうまく飲み込めないことです。むせる、食事に時間がかかるなどで気付く場合があります。気管へ入ると肺炎の原因になることもあります。

頻脈

脈が普段より速い状態です。薬、発熱、脱水などでも起こりますが、胸痛や息苦しさ、失神を伴う場合は急いで受診します。

心電図異常

心臓の電気的な動きを記録する心電図に、波形や間隔の変化が見られることです。軽い変化から危険な脈の乱れまで含むため、「異常あり」だけで程度は判断できません。

排尿困難

尿を出し始めにくい、勢いが弱い、出し終わるまで時間がかかることです。一部の薬が膀胱の働きに影響する場合があります。尿がほとんど出ない場合は早急に受診します。

眼調節障害

目のピントを近くや遠くに合わせにくくなることです。文字が読みづらい、目がかすむなどとして感じられ、一部の薬で起こる場合があります。

女性化乳房

男性の胸で、乳腺という乳房の組織が大きくなることです。脂肪が増えることとは区別し、ホルモンや薬との関係を調べます。

光線過敏症

日光に当たった部分に、通常より強い赤みや発疹などが出ることです。一部の薬で起こりやすくなるため、服薬と日光に当たった時期を確認します。

浮腫

体の組織に余分な水分がたまり、手足や顔などがむくむことです。薬のほか心臓・腎臓などの病気でも起こり、むくみ方や体重の変化を確認します。

心室頻拍(VT)

心臓の下側の部屋(心室)から、非常に速い脈が生じる不整脈です。血液を十分送り出せなくなり、失神や心停止につながる場合があります。

心室細動(VF)

心臓の下側の部屋(心室)がばらばらに震え、血液を送り出せなくなる状態です。直ちに救急要請と心肺蘇生、利用できればAEDによる対応が必要です。

溶血性貧血

酸素を運ぶ赤血球が、通常より早く壊れて少なくなることです。だるさや息切れ、皮膚や白目が黄色くなる黄疸などが出る場合があります。

全身性エリテマトーデス(SLE)様症状

薬に関連して、免疫が自分の体を攻撃する病気「全身性エリテマトーデス」に似た症状が出ることです。発熱、関節痛、発疹などがあり、同じ症状でも他の原因との区別が必要です。

心筋炎

心臓を動かす筋肉に炎症が起こることです。胸の痛み、息切れ、動悸などが出る場合があり、一部の薬の使用中にも注意されます。

心筋症

心臓の筋肉自体に問題が起こり、縮んだり広がったりする働きが低下する病気の総称です。息切れやむくみなどが出る場合があり、検査で原因や程度を確認します。

心膜炎

心臓の周りを包む薄い膜に炎症が起こることです。胸痛などが出る場合がありますが、胸痛の原因は他にもあるため診察が必要です。

心嚢液貯留

心臓を包む膜の間に、液体が多くたまることです。「しんのうえきちょりゅう」と読みます。量が多い、または急に増える場合は、心臓が血液を送り出す働きを妨げることがあります。

誤嚥性肺炎

食べ物、唾液、胃から戻ったものなどが誤って気管へ入り、肺炎を起こすことです。飲み込みにくさや強い眠気があるときに注意が必要です。

腸閉塞

腸の中を便やガスなどが通れなくなる状態です。強い腹痛、お腹の張り、嘔吐、便やガスが出ないなどがあり、普段の便秘と違う場合は急いで受診します。

糖尿病性昏睡

著しい高血糖などによって体内の水分や成分のバランスが崩れ、意識が低下する重い状態です。呼びかけへの反応が悪いなどの変化がある場合は救急対応が必要です。

CPMS

クロザピンを使う患者と医療機関を登録し、血液検査などを通じて重大な副作用を早く見つけるための国内の仕組みです。CPMSは制度名の略称で、検査を伴う使用条件の確認に関係します。

衝動制御障害

賭け事、買い物、食べること、性的行動などを、悪い結果があると分かっていても抑えにくくなることです。一部の薬の使用中に起こる場合があり、本人や周囲が気付いた変化を相談します。

病的賭博

損失や生活への悪影響があっても、賭け事をやめたり減らしたりすることが難しくなる状態です。治療中に新しく始まった、急に増えた場合は薬との関係も確認します。

強迫的購買

必要性や支払える範囲を超えて、買い物を繰り返しやめにくくなることです。普段との変化、気分や睡眠、服薬との関係を確認します。

性欲亢進

性的な関心や欲求が、普段より著しく強くなることです。躁状態や一部の薬との関係が考えられる場合があり、行動や生活への影響も含めて相談します。

注意力・集中力低下

話や作業に注意を向け続けたり、一つのことに集中したりしにくくなることです。眠気を起こす薬などでも生じ、運転や危険な作業への影響を確認します。

脱力感

体に力が入りにくい、力が抜ける感じがすることです。薬による眠気や筋肉の緩み、血圧低下などでも起こりますが、原因は一つではありません。

錯乱

時間や場所、状況が分かりにくくなったり、話や考えがまとまらなくなったりする状態です。急に起こった場合は薬、感染、体内の成分の異常などを調べる必要があります。

刺激興奮

落ち着かせる目的の薬を使っているのに、逆に興奮や怒りっぽさが強まることです。いつ服薬し、いつ変化が始まったかが判断の助けになります。

炭酸ガスナルコーシス

呼吸で二酸化炭素を十分に外へ出せず、血液中にたまって強い眠気や意識の低下が出ることです。単に眠っている状態とは異なり、呼吸が弱く反応も悪い場合は救急対応が必要です。

睡眠随伴行動

眠っている間や、十分に目覚めていないときの行動をまとめた呼び方です。歩き回る、食べるなどが含まれます。危険を伴う行動や、服薬後に始まった変化は処方医に伝えます。

筋弛緩作用

体を動かす筋肉の緊張を緩める作用です。こわばりを和らげる場合がある一方、力が入りにくい、転びやすいといった原因にもなります。

第一世代抗ヒスタミン薬

アレルギーなどに関わるヒスタミンの働きを抑える、以前からある薬の分類です。脳にも届きやすい薬が多く、眠気や口の渇きなどが出る場合があります。

チエノジアゼピン系

エチゾラムなど、ベンゾジアゼピン系に近い構造と作用を持つ薬の分類です。神経を落ち着かせるGABAの働きを強めます。分類名が違っても、眠気や依存・離脱への注意は必要です。

プロドラッグ

飲んだ時点では作用が弱い、または作用せず、体内で別の形へ変わって働くようにした薬です。薬が体内で変化することを利用した設計で、単に「弱い薬」という意味ではありません。

中枢神経抑制薬

脳や脊髄の活動を抑え、眠気や落ち着く作用などを起こす薬の総称です。複数を使うと作用が重なり、ふらつきや呼吸の弱まりなどが強くなる場合があります。

モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)

セロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどを分解する酵素の働きを抑える薬です。MAOIはその英語の略称です。他の抗うつ薬などと重なると危険な反応が起こる場合があり、切替時にも間隔の確認が必要です。

セロトニン作動薬

セロトニンという情報伝達物質の受容体を刺激したり、その働きを強めたりする薬を広く指す表現です。複数の作用が重なるとセロトニン症候群につながる場合があるため、組合せを確認します。

抗血小板薬

血を止める細胞「血小板」が集まる働きを抑え、血管の中の固まりをできにくくする薬です。一方で出血が止まりにくくなることがあり、他の薬との組合せに注意します。

抗凝固薬

血液が固まるために働く物質の作用を抑え、血管内の固まりを防ぐ薬です。血小板に作用する薬とは仕組みが違いますが、どちらも出血の危険と効果を見ながら使います。

出血傾向

あざ、鼻血、歯ぐきからの出血などが起きやすい、または止まりにくいことです。便が黒い、血を吐くなどは体内の出血の可能性もあり、早急な受診が必要です。

血圧上昇・高血圧

血液が血管を押す圧力が高くなることです。薬の影響で上がる場合もありますが、自覚症状だけでは分からないことが多く、測定して確認します。

尿閉

膀胱に尿がたまっているのに、十分に出せないことです。出したいのに出ない、下腹部が張って痛い場合などは、自己判断で水分を増やすだけにせず早急に受診します。

マルチモーダル抗うつ薬

神経伝達物質の回収を抑える作用と、複数の受容体への作用などを併せ持つ抗うつ薬の呼び方です。「マルチモーダル」は複数の仕組みという意味で、すべての人に効く、という意味ではありません。

霧視

視界に霧がかかったように、かすんで見えることです。「むし」と読みます。薬が目のピント調節に影響する場合もありますが、急な視力低下や目の痛みは早急な診察が必要です。

せん妄

短い期間で注意や意識の状態が変わり、話がかみ合わない、場所や時刻が分からないなどが起こる状態です。1日の中でも良くなったり悪くなったりし、薬、感染、脱水など原因を調べる必要があります。

抗コリン性せん妄

アセチルコリンという物質の働きが薬で強く抑えられ、混乱、幻覚、興奮、時間や場所が分からない状態などが起こることです。口の渇きなどに加えて急な意識の変化がある場合は受診が必要です。

緑内障

目から脳へ情報を伝える視神経が傷み、見える範囲が欠ける病気です。一部の型では薬によって眼圧が上がる危険があります。緑内障という病名だけで全薬の可否は決まらず、型や状態を確認します。

高体温

体温が異常に高くなることです。感染症のほか、薬が汗や体温調節に影響する場合など原因はさまざまです。筋肉の強いこわばりや意識の変化を伴う場合は急いで受診します。

COX-1・COX-2

痛みや熱、胃の保護などに関わる物質を作る酵素の2種類です。「コックス1・コックス2」と読みます。多くの抗炎症鎮痛薬はこれらを抑えるため、痛みを和らげる作用と胃腸などへの影響が生じます。

選択的COX-2阻害薬

痛みや炎症に関わる物質を作る酵素のうち、COX-2をより選んで抑える薬です。胃腸への影響を減らすことを狙った分類ですが、胃腸・腎臓・心臓への危険がなくなるわけではありません。

プロスタグランジン

体の中で局所的な信号を伝える物質の仲間です。痛み・熱・炎症を起こす働きだけでなく、胃を守る、腎臓の血流を保つなどの働きもあります。作られる量を抑える薬では、これらにも影響する場合があります。

セロトニン5-HT3受容体

セロトニンの信号を受け取る部分の一種で、吐き気や腸の働きに関わります。ここを遮る薬には、吐き気や腸の症状に使われるものがあります。5-HT3は受容体の種類の名前です。

ClC-2クロライドチャネル

腸の表面の細胞で、塩化物イオンという成分を通す通り道です。ここを働かせて腸の中へ水分を出し、便を軟らかくする仕組みを利用した薬があります。

グアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体

腸の表面の細胞が信号を受け取る部分です。働くと細胞内の合図を通して腸の中への水分を増やすなどの変化が起こります。GC-Cはこの長い名前の略称です。

胆汁酸トランスポーター

脂肪の消化を助ける「胆汁酸」を、腸から体へ回収するたんぱく質です。小腸での回収を抑えると大腸に届く胆汁酸が増え、排便を促す仕組みを利用できます。

浸透圧性下剤

腸の中に水分を保ち、便を軟らかくして出しやすくする便秘薬です。腸を直接刺激する薬とは仕組みが違います。同じ分類でも成分によって注意点が異なります。

刺激性下剤

腸を刺激して、便を先へ送る動きを促す便秘薬です。「蠕動(ぜんどう)」はこの押し送る動きのことです。使う量や期間は、便の状態や腹痛なども見ながら確認します。

KCNQ/KV7カリウムチャネル

神経細胞からカリウムを通す小さな通り道の仲間です。KCNQ・KV7はその名前で、電気信号が出やすいかを調節します。開きやすくすると神経の過剰な活動を抑える方向に働きます。

カリウムチャネル開口薬

細胞のカリウムの通り道を開きやすくする薬です。その結果、神経や筋肉が電気的な信号を出しにくくなる場合があります。どの通り道に作用するかで効果は異なります。

TARPγ8

神経の信号を受け取るAMPA受容体の働きや置かれる場所を助ける、たんぱく質の一種です。「タープ・ガンマ8」と読みます。これに着目し、脳の特定の場所での作用を狙う薬が研究されています。

負のアロステリック調節(NAM)

受容体の通常の信号が結び付く場所とは別の場所に薬が結び付き、その信号への反応を弱めることです。NAMはその作用の略称です。「負」は効果が悪いという評価ではなく、反応を弱める方向を指します。

ムスカリンM1/M4受容体

アセチルコリンという情報伝達物質を受け取る部分のうち、M1とM4という種類です。脳内の記憶や信号の調節などに関わり、新しい薬の作用先として扱われます。名前だけでは国内の承認の有無は分かりません。

中枢性・末梢性

中枢性は主に脳・脊髄での作用、末梢性はそれ以外の神経や臓器での作用です。同じ受容体に作用しても、薬が脳まで届きやすいかによって、眠気などの出方が違う場合があります。

末梢性抗コリン薬

主に脳の外で、アセチルコリンの受容体の働きを抑える薬です。脳への作用を狙う別の薬と組み合わせ、唾液や胃腸などへの不要な作用を減らす目的で使う場合があります。

過敏性腸症候群(IBS)

腸の動きや刺激の感じ方などが変わり、腹痛と、下痢・便秘などの便通の変化を繰り返す病気です。検査で症状を説明する炎症や腫瘍などが見つからなくても、症状は実際にあります。便の状態から便秘型、下痢型、混合型などに分けます。

便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)

IBS-CのCは便秘を意味します。繰り返す腹痛に加えて硬い便が多く、排便しにくくなる型です。便秘があるだけでIBS-Cとは決まりません。比較表ではリナクロチドの用途として登場し、慢性便秘症とは承認効能を分けて記載しています。

関連薬: リナクロチド (この病気を承認効能に含む薬)

出典・確認先

下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)

IBS-DのDは下痢を意味します。繰り返す腹痛に加えて、軟らかい便や水のような便が多くなる型です。便秘型とは薬の選び方が異なるため、比較表では用途を区別して読みます。

関連薬: ラモセトロン (下痢型に用いる薬)

出典・確認先

イレウス

現在の診療用語では、腸の動きが弱まる・止まることによる通過障害を指し、物理的にふさがる腸閉塞と区別します。古い資料では腸閉塞を含む広い意味でも使われます。強い腹痛、お腹の張り、嘔吐、便やガスが出ないなどが重なる場合は、単なる便秘として扱わず早急な受診が必要です。

器質的疾患

炎症、腫瘍、腸の狭まりなど、臓器の形や組織の変化を伴う病気です。「器質的疾患による便秘を除く」は、そうした病気が原因の便秘を薬の承認対象から除くという意味です。検査の必要性は症状や経過で判断されます。

内臓知覚過敏

腸にガスがたまる、腸が動くといった刺激を、強い痛みや不快感として受け取りやすくなることです。腸の動く速さとは別の特徴で、IBSの症状に関係する要素の一つです。

蠕動運動

「ぜんどううんどう」と読みます。腸の筋肉が順に縮んだり緩んだりして、食べ物や便を先へ送ります。便秘薬にはこの動きを促すものがありますが、すべての便秘薬が直接腸を刺激するわけではありません。

cGMP(サイクリックGMP)

薬の名前ではなく、細胞の中などで働きを調節する情報伝達物質です。リナクロチドの説明では、GC-C受容体が刺激されてcGMPが増え、腸への水分分泌を促す仕組みの途中に登場します。

CFTR

腸の表面の細胞などにある、塩化物や重炭酸を通すたんぱく質です。リナクロチドの説明では、cGMPが増えるとCFTRを介した分泌が促され、水分も腸の中へ移動して便を出しやすくする、という流れを表しています。

関連薬: リナクロチド (作用の仕組みに関係する薬)

出典・確認先

高マグネシウム血症

血液中のマグネシウムが増え過ぎた状態です。酸化マグネシウムの服用中に起こることがあり、吐き気、力が入らない、強い眠気、脈が遅いなどが手掛かりになります。こうした症状が出た場合は服用をやめ、すぐに医療機関を受診するようPMDAが案内しています。

関連薬: 酸化マグネシウム (原因となる場合がある薬)

出典・確認先

確認先: 厚生労働省「こころの耳」双極性障害 / 厚生労働省 精神疾患の特性 / PMDA 重篤副作用疾患別対応マニュアル / 日本うつ病学会(JSMD) 双極症診療ガイドライン

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主な出典・確認先

承認状況・用法用量・副作用・相互作用の確認には国内の電子添文を優先し、治療上の位置づけ、研究、海外承認・開発状況は診療ガイドライン・規制当局・試験登録情報を参照します。承認効能と保険審査上の扱いは区別します。全セルの個別一次資料照合が完了したことを意味するものではありません。

追加照合した14項目と出典(2026/09/09)

以下は今回修正した欄の確認資料です。各薬剤の全項目を検証済みとする記録ではありません。保険審査事例は承認効能の追加を意味せず、個々の請求の認容を保証しません。

データ確認基準: 2026/09/08時点。製品画像はWikimedia Commonsおよびサイト運営者撮影の画像を利用しています。Wikimedia Commons画像は撮影者・ライセンス・元ファイルを各画像の拡大表示内に記載しています。

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